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本場の技術を求めて

きぬさら杜氏物語~日本初・国産まっこりができるまで~

  • 第一章 旅立ち

    プロジェクトの始まりは2010年。
    当時、会社の事務長を務めていた山本浩己は、
    南貴晴社長からある打診を受けました。
    「山本。韓国に行って、まっこりの作り方を覚えてこい。」
    考えに考えましたが、一度だけの人生。
    そんな貴重な経験はなかなかできるものではないと思い、
    山本は意を決して韓国に渡ることにしました。
    しかし、まっこり作りの技術を学ぶにしても、
    言葉が話せなければどうにもなりません。
    山本はまずソウル市内にワンルームを借り、
    語学科のある大学へと入学するのでした。

    第二章 執念の語学習得

  • 第二章 執念の語学習得

    韓国での生活を始めた山本ですが、
    字が読めなければ、言葉を話すこともできません。
    家の近所で迷子になったり、買い物をするのも一苦労。
    そのため、いつしかホームシックに陥ってしまいます。
    しかしここで、山本の負けず嫌いな性格が現れました。
    「何が何でも韓国語を話せるようになってやる!」
    山本は1年半、語学習得に全身全霊を傾けました。
    その結果、専門知識を取得できるまでの
    語学力を身につけるに至ったのです。

    第三章 失意から希望

  • 第三章 失意から希望へ

    山本は語学を習得すると同時に、
    まっこりの技術を取得できる場所を探していました。
    酒造所をいくつも回っては、限られた語学力で
    精いっぱいの思いを伝え、頭を下げました。
    しかし、ことごとく門前払いを食らってしまいます。
    「やっと言葉が話せるようになったのに…」
    失意のどん底にあった山本でしたが、
    ある日、韓国伝統酒を題材にしたフェスティバルを
    ぶらぶらしていると、偶然にもまっこり作りを
    教えてくれる学校の案内を見つけました。

    第四章 技術習得への道のり

  • 第四章 技術習得への道のり

    外国人生徒は、山本が初めてでした。
    麹(こうじ)に関する知識からはじめて、
    まっこりの製造方法を脇目も振らずに学びました。
    日本だと密造になってしまう酒の自作も韓国では
    法規制が無いため、「自分なりのまっこりを作れ」
    という宿題が出されることもありました。
    また、その学校は料理学校を兼ねていたため、
    韓国の伝統料理の作り方も学ぶことができました。
    このときの経験は、どんな料理にまっこりが合うのか、
    という研究の際にも大いに参考になりました。

    第五章 運を味方につけて

  • 第五章 運を味方につけて

    山本がまっこりの技術取得に苦闘していたその頃、
    地元掛川市に、韓国のフェンソン郡から「生涯学習都市」として
    姉妹都市提携を結びたいというオファーがありました。
    掛川市長と、当時青年会議所理事長を務めていた
    南社長が視察に行ったところ、そこがなんと
    伝統酒の製造の街であることがわかりました。
    そこで群主に対し、協力を要請することになりました。
    交渉の結果、姉妹都市としての架け橋の第一歩として、
    まっこり伝統製法の伝授という話がまとまるのでした。

    第三章 失意から希望

  • 第六章 3年目の凱旋

    株式会社オファードと韓国農村振興庁国立農業科学院が
    「共同研究」の分野で契約を結び、
    いよいよ国内での製造販売の準備ができるようになりました。
    多くの失敗を重ねながら山本も成長し、その技術力は
    卒業試験で作ったまっこりが最優秀賞を取るほどでした。
    2013年、一人前のまっこり杜氏となった山本は、
    強い決意と共に、ついに帰国の途に就きます。
    「日本で皆さんが喜ぶ、美味しいまっこりを作ろう」
    単身韓国に渡ってから、実に3年が経過していました。

    最終章 国産まっこり誕生

  • 最終章 国産まっこり誕生

    山本が日本に戻ると、酒造許可の取得や
    製造工場の設計といった準備が次から次へと押し寄せました。
    すべてが日本初なので、製造工場機械も
    日本酒用の機械を作っている会社に依頼してアレンジし、
    どうしても無い場合は韓国から部品を取り寄せました。
    途中、環境や製造量の違いからくる“味のぶれ”
    という課題に直面することもありました。
    しかし山本たちには、それまで支えてくれた国内外の
    大勢の方たちに恩返しがしたい、という思いがあります。
    諦めず膨大な試作を重ねた結果、ついに自社工場にて
    納得のいく美味しいまっこりをつくるレシピが完成しました。
    正統製法による、日本初・国産まっこりの誕生です。

第一章 旅立ち 第二章 執念の語学習得 第三章 失意から希望へ 第四章 技術習得への道のり 第五章 運を味方につけて 第六章 3年目の凱旋 最終章 国産まっこり誕生